コンテのふるさと

コンテが生まれるところ

コンテの生産地域はフランスの東部、フランシュ・コンテ地方のジュラ県、ドゥー県、及びローヌ・アルプ地方のアン県にまたがるジュラ山脈のほぼ全域です。

ジュラ山脈はジュラ紀に形成された中位の山々が連なる地域で、もみの木に覆われた高原は標高200mから1500mに及びます。冬は大変厳しく雪深いこの地も、春になると色とりどりの花が草原を彩ります。春から夏にかけては、放牧される牛のベルが風にのって響きわたります。

コンテの伝統的品質は「Terroir (テロワール)」という一語に集約されます。他のどこにも見られない土壌、植物相、微気候などの条件が互いに及ぼし合う地理的影響を表す言葉です。

また、季節による草の変化とチーズの色や風味との密接な関係も見逃せません。冬のコンテは明るい麦藁色で、夏は草花の天然カロチンで色づき、深い黄金色に変わります。夏は複雑なフルーティーな香り。冬は刈り取られたばかりの干草やローストしたヘーゼルナッツの香りがします。

歴史的背景

ジュラ地方の冬は大変厳しく、中世より人々は牛乳をチーズにして保存せざるを得ませんでした。長期間保存できる大きなサイズのチーズのみが、冬の間家族全員の需要を満たすことができたのです。また、長期保存と熟成技術の向上により、地域を越えての輸出と、その引き換えに必要物資を手に入れることが可能となりました。

大きなチーズ玉は平均400リットルもの大量の牛乳を必要とするため、酪農家は協同組合を形成するようになり、生産した牛乳を今日フリュイティエールと呼ばれるチーズ工房に運びました。この村組織は8世紀前に形成されています。

連帯と分かち合いの価値観は失われることなく、独特な作業工程や伝統的な職人技とあわせてコンテの特長の一つとなっています。

この独自性、文化的重要性、及び地域への経済的な貢献などから、コンテは1958年に品質を保証する原産地保証ラベル、AOC (原産地呼称統制) の認定を受けた初期のチーズのひとつとなりました。 その後近年設定されたEUによるAOP (原産地呼称保護) にも1996年に認定されています。

AOP(原産地呼称保護)

フランスにはAOPの認定を受けたチーズが40種類以上あります。AOPは生産地域を限定し、仕様書に定められた厳格な規定に準じた伝統的生産工程に則って牛の飼育、チーズ製造、及び熟成を行っていることを保証します。

限定生産地域

コンテの生産地は、スイスと隣接するフランシュ・コンテ地方のジュラ県、ドゥー県、及びローヌ・アルプ地方のアン県の一部に亘るジュラ山脈一帯と限定されています。

生産規定

(1998年12月30日に発行された法令により制定された公定規格の要約)

  • 牛1頭当たり最低1ヘクタールの土地で放牧。
  • 肥沃な土壌と自然の植物相を維持するため施肥は禁止。
  • 牛の飼料は自然のもので、発酵飼料は一切禁止。
  • 搾乳は朝と夜の1日2回。
  • ミルクはフリュイティエール (チーズ工房) の25km圏内から収集。
  • 搾乳後24時間以内にチーズに加工。
  • 添加物、保存料、着色料は一切使用不可。
  • ミルクをカードにする凝固剤は、天然のものを使用。
  • 専門の熟成庫でエピセア (もみの木) の棚の上で最低4ヶ月熟成。

検査

長い変化の工程中、牧草地から最終製品にいたるまでの全生産段階にて検査が行われます。
同時に、酪農家、チーズ工房、熟成士は規定に則った厳しい自主検査を実施しており、また、不正特捜班やINAO(国立原産地呼称機関)の定期的な視察を受けています。
さらに製造期間中、チーズはコンテチーズ技術委員会の研究員による分析試験の対象となります。